「無人島に持って行く100冊」の候補に入れたい本。
北極圏の「極夜」の旅を実現するための前段階として、以下の3部構成になっている。
ネタバレにならないように、一部の感想を書くと。
- GPS等をあえて持たずに、天測だけでカナダを旅するが、天測の誤差が大きく難儀をする。※天測:星や月を観測して緯度経度を計算すること。
- 通信手段がないのに、何かがあったらどうするのか?と問われ「さあね。・・・・・死ぬしかないんじゃないかな」
- グリーンランド「冬の旅」で、橇を引かせる犬を打擲するところが衝撃的だった。生きるか死ぬかで追い詰められているからなのかもしれないが、尋常ではない殴り方である。犬が死ぬぞ、犬が死ぬ。何度も心配になった。角幡唯介のイメージが崩れ去る。だがその剥き出しの「生きるための闘い」こそが角幡唯介なのかもしれないと思い直した。
- 牛をライフル銃で撃ち殺して食べる。何気ない日常のように書かれているが、「獲物」を解体することを含めて、凄まじい生命力でもある。
- ウサギや鳥を捕まえて食べる。本当に現地のイヌイットと同化している。
- グリーンランド夏の旅で、カヤックにて、海を行く。海象(セイウチ)のエピソードも印象的。
角幡唯介は「凄い人」だと思っていたが。やはり凄い人だった。
恐らく「命を削って、剥き出しの生命、あるいは自然との対峙」そういうものがないと生きていくことができない人なのだろう。
とにかく、凄い本だった。
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