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【読書日記】高地文明 - 山本紀夫

タイトルだけでも惹きつけられる本。

簡単に言ってしまえば、(現在および過去の)国家領域としての、メキシコ、ペルー&ボリビアチベットエチオピアの四地域を「高地文明」とし、フィールドワークを中心にした、ご自身の研究を紹介した書物である。ペルー&ボリビアを中心とする「アンデス地域」の研究・記載に力点が置かれている。

この四地域とも、私は訪問したことがあり、個人的に強く興味を惹かれている。

個人の感想としては、「こういうことを仕事にできることは、幸せなこと」だ。若い頃「趣味を仕事にするな」と、何度も言われたことがあるが、今は確信している。「趣味を仕事にしても全く問題ない。それどころか、自分が惹きつけられることを仕事にした方が良い。その方が、自分自身にも周囲にもプラスになる」。

学者になれるのは、本当に狭き門だから、恵まれた一部の人たちだけが、フィールドワークで生活できるのだ。

本書の内容としては、メキシコのトウモロコシ(トルティージャの材料)、アンデスのジャガイモ(チューニョの材料)、エチオピアのテフ(インジェラの材料)、チベットのチンコー(ツァンパの材料)といった各栽培植物が「文明」の成立に大きく寄与していたこと。低緯度の高地という共通点があること。

低緯度の高地は、身に沁みて分かるが、蒸し暑い気候が、疫病、農耕、放牧にもネガティブな影響を与える。蒸し暑い熱帯地域から、爽やかな高原に行った時の安堵感は、未だに忘れられない。

他の研究者への攻撃の凄まじさに、たじろいだが、概して興味深く読めた本。