「衝撃を受けた」というと、言い過ぎになるのかもしれないが、著者の「信念」というか「執念」に近い記述に、心が動かされた。
経済学部を卒業後に医学部に入学。
「財政破綻」し「医療崩壊」した夕張市。その夕張市立診療所で勤務経験をした著者。同診療所で所長まで務め、鹿児島でクリニックを開業。異色ともいえる経歴が、著者の主張の原動力の一つなのだろうか。
病院数、病床数も世界一の日本で、なぜ新型コロナ感染拡大で「医療崩壊」の危機が迫っていたのか。私たちの健康や幸福と、「病床数世界一」が結びつかないのは何故か。行き方、人生の終末をどう迎えるかの問題など、身につまされる提言がなされている。
煽るようなタイトルが、あまり好ましくはなかったが、読んでみて最初の印象とは全く違う本だった。
だが、このような内容の書物を読んていると暗い気分になるのも事実で、ただでさえ、日々の生活が大変なのに、日常的にこんなことを考えるというのも、つらいものがある。