3万ペソで楽しく暮らす

住居費以外を3万ペソ(60万円)で楽しく暮らす。エンジニアのブログ。

【読書日記】スポーツ国家アメリカ 鈴木透

他にも有名な著書のある研究者の著作である。

本としての完成度は高く、それは、編集者の力量の賜物だろうと推測した。

そして、論文を多数書いているであろう著者の経験の豊富さも影響しているだろう。

 

しかし、期待していたのとは違う内容であった。

 

最初は面白く読めたが、黒人問題、女性解放にスポーツを絡めてきて「分析」するなど、しだいに「重たく」なってくる。大学の研究だから、そういうテーマで「分析」をする必要性があるのだろう。

 

重たい内容は、日々の暮らしや業務だけで十分で、せめて読書ぐらいは、楽しみたいというのが私の願いである。

 

まさか、ここから政治を絡めてくるなんてことはないだろうな。と内心危惧していたが、トランプ元大統領が登場した時には「やってくれるな」という感想だった。

トランプ元大統領とWWE(プロレスの団体=World Wrestling Entertainment)の関係性と、トランプ元大統領の言動には、プロレス的な要素が色濃く含まれるという分析だった。

 

この本での「秀逸」は、間違いなく「あとがき」である。

たった10ページの「あとがき」が光り輝いて見えた。

 

この「あとがき」を膨らませて記述すれば名著にもなったかもしれない。

 

著者が小学一年のときに一年間アメリカの学校に通ったこと(父の仕事の都合)、若い時代に、ラジオの米軍放送でアメリカスポーツに触れた経験、自分の息子とスポーツの関係、そして、アメリカの出張のときの乗り合いタクシーで運転手との「野球談議」の経験。そんなことが生き生きと述べられている。

 

乗り合いタクシーで運転手との「野球談議」についての記述(の一部)。

 

引用:初対面の、そしてもう二度と会うことはないであろう彼と私とは、心が通じた気がした。P242