最近読んだ「縄文」の本の中では、ダントツでよかった。
「全てを覆す」ような強烈さを持っている。
レヴィ=ストロースを思い出したのは私だけではあるまい。
九州南部や、全国の離島に居住していた「海民」
その人たちの文化、習慣、生活などから「縄文」の文化、習慣、生活を考察する。
「商品交換」、「贈与」など構造主義を連想させる記述が迸る。
著者は、アイヌ研究者でもあり、旭川のアイヌの「呪術師」的な話など、印象深い例が多く言及されている。
縄文時代の印象が、大きく覆される体験をした。
「進んでいるか、そうではないか」とか、「優れているか、そうではないか」とか、そういう価値観がガラガラと崩れていくような、衝撃を与えてくれるような書物だった。
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引用:獣やサケは、たんなるモノではなく神の化身です。獣やサケという仮の姿で人間の世界へやってきた神は、アイヌに捕獲されてその仮装から解き放たれ、たくさんの手土産とともに手厚く神の世界へ送りかえされます。p220
引用:神と人とが贈与によってむすばれる縄文の思想p223
引用:縄文と海民史観の接合は、日本人とは異なる自意識をもちながら、縄文の思想をとどめてきたアイヌと南島の人々との歴史との架橋も意味します。p250
引用:同様に、日本列島の歴史や文化を縄文という光で照らしてみれば、一見平板で単系的にみえる私たちの世界の中に、縄文と弥生という異文化が織りなす重層的な構造が浮かび上がってくるにちがいありません。ひょっとすると、私たちの世界はおどろくほど濃密な縄文で彩られているかもしれないのです。p254
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