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桜の季節に思い出すこと(南米チリの「桜」)

桜の季節になると、思い出す出来事がある。

 

南米チリ。首都サンティアゴ(サンチャゴ)。

ピンク色の花が、街中で咲き乱れていた。

風に揺れてヒラヒラと花びらが舞い落ちる。


現地の人の話では、スモモの花だということだったが、私の目には、桜のように見えた。

日本を出て1年半。

出国したときは、4月だった。

 

桜が咲き誇る中、靖国神社近くにあるインド大使館にビザを取りに行ったことを思い出す。アジア横断、欧州横断、中東縦断、アフリカ縦断。そして南米。そうやって旅をして来たのだ。

日本の裏側のチリで、桜の花に似たものを見ることができるとは思いもしなかった。

ネットで調べると、この花は、ジャカランダというらしい。

街路樹に使われており、サンティアゴ(サンチャゴ)の街中で見ることができる。

 

サンティアゴでは、日本料理屋の二階の宿に泊まっていた。

ここは民泊として知られていて、一泊600円程度で泊まることができた。(当時)

宿に併設されていた宿泊者専用の台所で、米を炊き、お握りを作る。チリには、日本のコメに似たものが売られていて、その米を鍋で炊くのだ。粘っこく、お握りに最適な品種だ。

そのお握りを持って公園に向かう。

お握り三個。卵焼き、ソーセージとキャベツをプラスチックの容器に詰めた。


公園のベンチに腰を掛け、ピンク色の花を見ながら食べる。
花見をしたかったのだ。

日本はずっと遠くに行ってしまった。
その日本を思い出しながら、桜の花に良く似た花を見て、お握りを齧る。

風は肌寒く、日本の春にも似ていた。

 

もう二度と日本に帰国できないかもしれない。

そんな想いを抱いて私は旅を続けていたのだ。

 

数々の思いが胸に去来する。

桜、あるいはスモモ。

心の奥深くに消えていたような、数々の思い出を引き出す。

そのような力を秘めている花である。

 

花よ。

生きる力を与えてくれ給え。

 

祈れば祈るほど、花は散る。

そよ風が吹くと、

ヒラヒラとヒラヒラと、ピンク色の花びらが散っていく。