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【読書日記】戦争は女の顔をしていない スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

小梅 けいとさんの漫画の項で紹介した「戦争は女の顔をしていない」。

その原作である。

ウクライナ人の母と、ベラルーシ人の父、そしてスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんご本人はベラルーシで主に活躍したという。

第二次世界大戦独ソ戦を題材に、従軍した女性達からの聞き取りを元にしたノンフィクションあるいはルポタージュ。

作者は、ウクライナ生まれ、ベラルーシ大学卒ということだ。ノーベル文学賞を受賞したことで日本でも知られるようになった。「訳者あとがき」では、ベラルーシの「ルカシェンコ大統領」についても書かれている。ベラルーシの一部から、警戒されることで、ベラルーシには帰れない身になっていると。

衝撃的だったのは「ソ連」兵の乱暴狼藉についても、「少しだけ」触れられている点だ。ドイツ人の腕時計を探して、頂戴する(人もいたが、話者はそんなことはしたくなかった)。という略奪に近いようなことも、少しだけ触れられている。そういう負の面は、タブーだったのだろうが、勝利の喜びで、思わず話の流れで出てしまったのだろうが、現代のロシアとウクライナの戦争が思い起こされ、恐ろしい気がした。

命を懸けて戦った兵士が帰国すると、「裏切者」とか「スパイ」扱いにされる場面もあり、どの国でも同じようなことがあったのだと感じられた。

おそらく人によって、感じ方が大きく異なる本であり、とにかく、考えることが多かった本である。