なかなかの良書。
表紙の写真も秀逸だし、記載内容も、淡々としていて、好感が持てる。
それにしても、アフガニスタン史は、複雑であり、(個人的に)同じような本をたくさん読んでいるのだが、なかかな頭に入らない時代もある。特に、第一次英ア戦争(1839年)の前後は、複雑に感じられる。
アフガニスタンの不幸と、僥倖は、同じ要因であるかのように思われ、多民族と、厳しい自然(特に険しい山岳地帯)は、ソ連の侵略を撃退した要因であり、かつ政治がまとまらない要因でもある。高度な自治+疑似連邦制のような体制しか、この国がまとまる方法が無いように思うのだが、私は専門家ではないので、正直なところ、それが正しいのか自信は無い。
この国は、国の成り立ちからして、混乱を招くような要因が多々あった。厳しい自然(険しい山岳)は、外敵を防ぐ効果があったが、同時に、国内をまとめる阻害要因でもある。タジク人、ウズベク人、トルクメン人やハザラ人、もちろん多数派のパシュトゥーン人と民族も、バラバラであり、パキスタン、イラン、ロシアを始め周辺諸国の「干渉」も絶え間ない。
余談だが、アフガニスタンの険しい自然の説明になるが、例えば「ヒンドゥークシ」山脈は、「インド人ごろし」という意味である。
さて、本書は2002年10月30日に初版、2021年10月30日新装版初版となっており、そうすると2021年8月15日のタリバン新政権樹立の記憶間もない時期である。だが、2002年1月21日の「東京会議」の記載で事実上終わっている。個人的には、2002年から2021年、そして2025年までのアフガニスタンの歴史にも、強い興味を抱くが、ほぼ記述は無い。それは、2002年10月30日の初版から、大きく内容を更新していないからだろうと推測した。
印象的なのは、2021年9月に書かれたとされる、「あとがきの補足」である。
引用(「あとがき」よりP.237)
2002年に戦火が収まったとき、廃墟と化したカブール博物館の入口に《もしまだ文化が生き残っていれば、国もまた生き残れよう》と書かれた幕が張られていた。